クライマー・ドラマー 斎藤清人さん
アフリカの太鼓が縁でグローバルで教育的な音楽活動に。
南魚沼へ移住して、不便という程ではありませんが、物足りないことは、レコード店、ジャズ喫茶、映画館、ライブハウスが少ないことです。東京は世界有数の文化が集まる街でしたから、休日にレコード店を巡り、ジャズ喫茶で読書して、映画を観て、来日アーティストの公演に仲間で行くといったライフスタイルが、すっかりなくなりました。
それでも新潟県内を見渡せば、隣の湯沢町にはフジロック、十日町市ではアートトリエンナーレ、新潟市では年2回のジャズストリート、佐渡では和太鼓集団“鼓童”によるアースセレブレーションと国際的なイベントがたくさんあります。
学生時代からドラムをやっていましたが、ブラジル、キューバ、アフリカ諸国を訪れた日々は“太鼓武者修行”のようなものでした。ブラジルではサンバカーニバルまで出演してしまいました(笑)
音楽は人と人をつなぎます。Uターンして間もなく、「太鼓を教えてほしい」という声がかかりました。アフリカのジャンベという素手で叩く砂時計型の太鼓です。「以前、ワークショップがあってモノを買ったが、その先の叩き方が分からない」と。私も18歳からジャンベを持ってはいましたが、けっして上手ではありません(笑)。それでも輪は広がって20名くらいのメンバーで楽しくやっています。アフリズムセッションと命名しました。南魚沼周辺には“職人気質”の人が多いようで、皆もくもくと練習し、凄腕のプレイヤーも育っています。
国際大学のアフリカ系の学生と、イベントや学園祭でコラボレーションを何年もやっていますが、先日「君たちはアフリカ人より太鼓がうまい!」なんてほめられました。ありがたいことに周辺地域から、毎年恒例で祭りやイベントに呼んでいただき、年間30回くらいライブやワークショップをしています。メンバーの多くは私と同じく子育て真っ只中で、家族ぐるみでお付き合いしています。音楽の楽しさを子供に伝えていきたいです。
それから、最近JR浦佐駅近くにレオンというライブハウスができました。設備が素晴らしく、県内でもトップクラスの音響を備えていると思います。時々、出させてもらっていますが、3月4日、裸押合い大祭の翌晩に初のワンマンLIVEをしました。
実は太鼓の他にも、変幻自在なセッション・バンドであちこちのイベントを盛上げています。きっかけは一昨年、隣の十日町津南での大地の芸術祭アートトリエンナーレの期間、いくつかライブの誘いをいただいたことです。
世界的な画家となった古い友人、浅井裕介の出展もあり、なにかコラボレーションしたいなあと考えていました。パーカッションとダンスだけのアフリズムセッションの表現では限界もあったので、地元のミュージシャンを募ってセッション・バンドを編成しました。
われわれ世代になるとキャリア20年、“心はアマチュア、腕はセミプロ”みたいな人材は街に眠っています。アート系では前衛、ダンス系ではファンクで盛り上げたり、イベントの趣旨によって何でもやります。アフリズムセッションのメンバーにもいい刺激になっていると思います。
先日のレオンでのワンマンLIVEもまさかの満員御礼で、ありがたく楽しませてもらいました。こういったスポットがもっともっと盛り上がってくれたらいいなあ、と願っています。
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